よもやま保育談議12 自立と依存の関係って?



松本崇史(以下、松):今日職員にさ、「自律、自立、自治、自由をつないでいく園にしよう」と言うたよ。自立とは誰かに依存できることってある人が表現してたけど、「依存」って言葉は正しいのかね。


藤田進(以下、進):「生と死」みたいに表裏一体な言葉だとは思うけど……。


:依存よりいい言葉がありそうだわ。


:信頼みたいなことよね。


:そうなんだよな。信頼のほうが近いが、頼るってことだしね。何で依存なんだろう?

:これまでの振り戻しじゃない?自立は依存しないこと、みたいなことに対する。「いやいや、依存って必須だよ。ネガティブじゃないんですよ!」みたいなニュアンスが含まれてる。


:なるほどな。でも依存はネガティブだぜ。依存症って言葉があるんだから。


:確かに。


:人は何かに依存するもんだが、それを依存とするかそうでないかは、言葉分わけんと……。と思うのは俺だけか😅


:いや、合ってると思うけどね。頼るが近い。頼ってもその責任を自分で引き受けるっていうのが自立。自立がある依存は、依存するってことを受け入れて、人に頼るってプロセスよね。これを乳幼児のリアリティに合わせて言語化すると、依存ってチョイスじゃないのかもしれない。


:できる、できないがわかるってことだけど、できるようになろうとするのが乳幼児期にはどうしてもある。で、最近は頼りきって何もしない子も多い。その中で依存って言葉を使うと、何も促さないという勘違いが生まれやすい。


:それ、わかる。


:だから、0歳で信頼関係、1歳と2歳で自立の道じゃん。で、信頼関係って定着しなくて、継続するものなんだから、1歳の時も2歳の時もあるものじゃん。だから信頼関係を常に持ちながら、自立に進むわけだ。


:うん。


:そこに依存って言葉を挟むと、ややこしすぎるし、やらない主体性とか言いながら何もしない人も生まれる。


:そう考えると、乳幼児では、依存ってのは相応しくないんだろうね。思春期の青年には当てはまるけど、それをそのまま保育で使うと誤解が生じる。


:思春期には依存は大事よ。ないと、なんにもはまれない。言葉のニュアンスって大事だわな。


:言い換えるか……。あ、精神的な依存とさ、生存的な依存(?)が混ざってるんだわ。


:はいはい。それはわかるな。


:依存症は、精神疾患の一部よね。


:依存症はそうだね。


:その場合、乳幼児にはそんな診断はされない。


:そう、されない。この辺の自立に関しては、保育はもっとシンプルでいい気がしてるのだよ。だから、丁寧に関わるのは自立のためなのか何なのかなのよ。自立のために丁寧に関わる。自立が安心とするならさ、安心して自分のことを自分でして、頼るところは頼って、すこしよくなろうとするために丁寧に関わるんだよね。


:自立の道筋を援助する。


:みんな勘違いしてる気がしてさ、人生の道を歩むのはこども本人だぜ。頼ることに喜びを感じるのは、根拠のない自分への自信があって成り立つ。


:頼ることに喜びを感じてもらえるように関わる。安心して、自分のことを自分でして、頼るところは頼って、自立する喜びや快感を十分に味わう、そのために丁寧に関わる。


:それだよ。それが合ってる。


 

松本崇史(まつもとたかし)
鳴門教育大学にて佐々木宏子先生から保育・絵本を学ぶ。絵本屋を経験し、その後、任天会の日野の森こども園にて園長を行い、ほとんど事務所におらず現場にいながら、こどもたちと遊びを謳歌している。現在、おおとりの森こども園園長。雑誌『げんき』にて「保育ってステキ」を連載中。

藤田進(ふじたすすむ)
好奇心や探究心をたっぷり使いながらこどもと日々を過ごせるように、そして、こどもとこの地球や社会をどのように分かち合うかを模索しながら、絵本やおもちゃの販売、庭しんぶんの発行、研修事業などを運営中。札幌第一こどものとも社代表。庭しんぶん編集長。3児の父。

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